【人事歴10年が解説】会社を無断欠勤すると解雇や退職になるだけじゃなく親が会社に来てパニックになるぞ!

「会社を無断欠勤してしまった。解雇されたらどうしよう」

「会社を無断欠勤したらどうなるの。退職扱いになるのかな」

と気になりませんか。

結論から言えば無断欠勤を1か月そこらしたくらいで会社は従業員を解雇することはできません。

まことしやかにささやかれている「2週間以上無断欠勤したら解雇できる」なんていう労基署の通達ベースの話も正直裁判にならないと本当に有効だと扱われるかどうか分からないからです。

ただ無断欠勤を繰り返す人はやがて音信不通になって辞めていくことも多いですね。

また、会社に親御さんをやむなく呼びつけることになってしまうので本人が非常に恥ずかしい想いをすることにもなりがちです。

筆者はこれまで約10年間、人事を経験してきて無断欠勤や無断欠勤の末に辞めていった社員の対応を10件以上したことがあります。

正直、無断欠勤で辞めるくらいなら退職代行などを使って意思表示をして退職してもらった方が100,000倍無断欠勤からの音信不通退職よりはマシです。

辞めますの一言と退職届さえあれば人事も辞めた人を深追いする必要性はありません。

つまり退職代行で退職の意思さえ示してもらえば人事側も「助かったなぁ」となりますね。



無断欠勤した社員を正当な手続きを踏んで辞めてもらおうとすると実に半年以上の時間がかかるからですね。

今回は、そんな会社を無断欠勤してしまった人に向けて対応策を書いていきます。

会社を無断欠勤してしまった、あるいは無断欠勤をしそうな人はぜひ最後まで読んでいって下さいね。

目次

【結論】無断欠勤が2か月あったくらいで解雇はされない

人事を10年経験した筆者的には、無断欠勤が2か月連続したくらいでは解雇はされないというのが結論です。

日本は労働基準法上、正社員のみならずパート・アルバイト・契約社員でも解雇をすることは容易ではないためです。

よくある勘違いとして行政通達S23.11.11基発1637号、S31.3.1基発111号において「無断欠勤が2週間以上続く場合において出勤を促しても出勤しない場合は解雇できる」という通達が出ていますが、裁判に移行した場合どこまで通用するのかはっきり言って分かりません。

仮に行政通達通り解雇したのだと裁判で主張したとしても裁判官が「解雇は不当だった」といえば莫大な損害賠償請求が企業に降りかかってきます。

つまり、まともな人事がいるまともな企業ではちょっとやそっと無断欠勤したくらいでは解雇できないということですね。

正社員の場合は本人の意思確認を取るために徹底的に努力しないと解雇はできませんし、他の契約期間の定めのある労働においては期間満了日まで待たないと解雇はできないでしょう。

安易に無断欠勤をして音信不通になるとめちゃくちゃ人事側は手間をかけて解雇手続きをしないといけないということです。

会社によって異なる無断欠勤の定義

無断欠勤とは会社に連絡を入れずに出勤すべき日に休むことです。

ただ、会社によっては一か月の勤務日数があやふやだったりするような会社もあるので何を無断欠勤とするかは会社によって変わります。

出勤すべき日に連絡なしで休むので無断欠勤と一般的な解釈にはなりますね。

無断欠勤をする場合につきまとうリスク7つ

「これまでの話の流れ的には無断欠勤しても大丈夫なんだよね」と誤解した方もいると思います。

最悪解雇されなくても以下のような評価が下がるリスク以外のも法的なリスクはあります。

・減給処分

・降格処分

・親を会社に呼ばれる(音信不通のみ)

・懲戒解雇される

・転職活動が不利になる

・必要書類を受け取れない

・グループ会社に転職しにくくなる(大企業でやらかしたら要注意)

それぞれについて解説します。

減給処分

無断欠勤を繰り返せば減給処分される可能性があります。

出勤できていないということで管理職からの評価が下がる懸念があるからですね。

出勤すべき日に出勤できていないと評価は下がるでしょう。

降格処分

無断欠勤をしていると会社を降格処分される可能性があります。

係長などの役職付きの社員が会社を失踪したら仕事が回りません。

責任を取る立場にいる人はしんどくなったら休職を打診するなどの対策を取りましょう。

親を会社に呼ばれる(音信不通のみ)

無断欠勤をすると親を会社に呼ばれるリスクがあります。

先述したように無断欠勤をして音信不通になると警察に捜索願を出してもらう必要性があるからです。

肉親以外は捜索願を出せないので親御さんにご足労欠けることになります。

懲戒解雇される

無断欠勤を繰り返すと最悪の場合は懲戒解雇となる可能性があります。

出勤すべき日に理由なく繰り返して休んでいては当然とも言えますね。

余談にはなりますが懲戒解雇をされると履歴書の賞罰ありの欄に「懲戒解雇歴あり」と記載しなければ経歴詐称ということになります。

隠して転職すればOKと思うかもしれませんが、採用担当者からすると見抜く方法があります。

簡単に話せば雇用保険履歴を開示してしまえばその人がどの会社をどんなふうに辞めたのかを見抜くことは可能です。

懲戒解雇だと失業保険の離職理由欄に「懲罰」と記されることになります。

雇用保険を紛失扱いで転職した場合に昔の雇用保険履歴をハローワークの担当者さんが調べて探すのですが最後の確認の際に見られてしまうことがあるんですよね。

やったことは一生ついて回ります。

転職活動が不利になる

無断欠勤をすると転職活動が不利になることがあります。

採用担当者にモラルがない場合、前職に電話確認をする可能性があるからですね。

「個人情報保護法があるやろ!」とか怒る人もいるかも知れませんが現実にある以上は仕方がありません。

ただ、まともな会社であれば電話確認をいちいちしませんね。

必要書類を受け取れない

無断欠勤になると以下の書類を受け取れません。

・年金手帳(預かってない会社も多いですが)

・離職票

・健康保険脱退証明書

・源泉徴収票

・その他会社独自の福利厚生からの脱退証明書

上記のような書類を受け取らないと金銭的に非常に損をします。

グループ会社に転職しにくくなる(大企業でやらかしたら要注意)

大企業を無断欠勤する人も少ないと思いたいですが、大企業のグループ会社への転職はしにくくなります。

理由として、親会社や子会社、協力会社の人事担当者は年に6回程度は顔を合わせて情報交換をするためです。

別に無断欠勤者のリストを共有するとかの話ではなくグループ会社同士での福利厚生などについて水準を合わせる話をするためですが、そのときに話題に出るような辞め方はしないようにしましょう。

【人事コラム】無断欠勤で損害賠償請求は無理ゲー

よく意味不明なサイトでは無断欠勤で損害賠償請求をするという企業もあると書いていますが、費用対効果が終わっているので会社はしないケースがほとんどです。

筆者も顧問弁護士をお願いしていますし、裁判の経験もあるのですが、会社が弁護士に裁判の依頼をすると150万円以上のお金がかかります。

しかも、損害賠償請求をすると反対に企業が労働者に<無断欠勤は悪いことだけど、まぁ、訴えるほどのことでもない。逆に会社が名誉棄損で金払ってね>という判決が下されることが多いんですよね。

まともな会社ならやりませんわ。本当に。労働基準法は労働者のためにあるのであって会社のための法律ではありませんし。

無断欠勤でよくある言い訳

無断欠勤でよくある言い訳は寝坊です。

ただ、寝坊くらいであれば問題ないですが長期になると深刻な問題になりますね。

無断欠勤でも大丈夫なケース

無断欠勤でも大丈夫なケースとして、会社が悪い場合は無断欠勤でも問題ありません。

具体的には以下のケースです。

・うつ病などのメンタル疾患(会社側の安全配慮義務違反)

・労災による治療中(会社側の安全配慮義務違反)

・残業が月80時間を超えていたケース(会社側の労働基準法違反)

・病気(会社側の安全配慮義務違反)

それぞれについて解説します。

うつ病などのメンタル疾患(会社側の安全配慮義務違反)

うつ病などのメンタル疾患にかかってしまっている場合には無断欠勤をしてしまっても連絡をして休職を取り付けてください。

会社の業務が原因でうつ病になっているケースが多いからです。

病気は誰でもなるものなので仕方ありません。3か月程度休職してから復帰してくださいね。

労災による治療中(会社側の安全配慮義務違反)

労災で休んでいる方を解雇することはできません。

労災による治療中に無断欠勤をしてしまっても、そもそも欠勤の原因は労災を起こした会社側にあります。

なので、無断欠勤しても焦らないでくださいね。

残業が月80時間を超えていたケース(会社側の労働基準法違反)

無茶な残業を押し付けられてしまっていて限界を迎えて無断欠勤してしまったというケースですね。

もう完全に会社側が悪いですね。

この場合も無断欠勤といっても精神的に追い詰められても仕方ない部分があるので気にせず休職などを訴えましょう。

病気(会社側の安全配慮義務違反)

病気などで会社を休むことは誰でもあることです。

たまたま無断欠勤になってしまっただけです。

だから心配なく休職なりを会社に求めましょう。

次は、実際に無断欠勤からの音信不通が起こるとどうなるのかを実体験を交えて伝えます。

【人事歴10年が経験した実話】無断欠勤した社員の親が会社に来てパニックになった話。解雇どころの話ではないです。

無断欠勤したら会社の中でどんな状況になるのかをお伝えします。

退職の意思表示なく無断欠勤をしたら以下のSTEPで必ず無断欠勤をした人を探しだします。

・STEP1:電話しまくって連絡を取ろうとする

・STEP2:社員の自宅へ行く

・STEP3:履歴書や書類を見て身元保証(親)に連絡して会社に来てもらいます

・STEP4:親御さんから警察に捜索願を出してもらいます

・STEP5:親御さんに事情を話して「もしも3か月以内に連絡がない場合は懲戒解雇手続きを取らざるを得ない」と伝えます。

それぞれについて解説します。

STEP1:電話しまくって連絡を取ろうとする

会社の電話から何十回も電話します。

安否確認をしたいからです。

そうして電話してもつながらない場合は次にいきます。

STEP2:社員の自宅へ行く

社員の自宅に人事部が行きます。

安否確認をしたいからですね。

またも連絡が取れない場合は三日ほど待って次に移ります。

STEP3:履歴書や書類を見て身元保証(親)に連絡して会社に来てもらいます

入社時に無断欠勤をした社員が会社に提出している身元保証人に対して電話で連絡を取ります。

会社では警察に対して捜索願を出せないためです。

親御さんが会社にほとんどの場合は来てくれます。

本人が悪いのに親御さんがめちゃくちゃ謝ってくるので「なんだかなぁ」と思います。

親御さんによっては「なんでこんなことをしてしまったのか!」と取り乱す方もいるので非常に人事部側も気まずいです。

STEP4:親御さんから警察に捜索願を出してもらいます

親御さんから警察に対して捜索願を出してもらいます。

前述の通り会社は警察に捜索願を出せないからです。

親御さんが警察に対して捜索願を出してくれたら親御さんに対して「連絡があったら会社に伝えてください」とだけ言います。

STEP5:親御さんに事情を話して「もしも3か月以内に連絡がない場合は懲戒解雇手続きを取らざるを得ない」と伝えます。

親御さんに事情を話して「もしも3か月以内に連絡がない場合は懲戒解雇の手続きを取ります」と伝えます。

「懲戒解雇となるとほとんど前科一犯のような扱いになる。できれば、自己都合退職扱いにしてあげたいので早めに連絡が来るようにしてくださいね」と伝えます。

ここまでは親御さんがらみの話でしたが人事が解雇するまでにやることを次は伝えます。

【半年かかります】無断欠勤からの音信不通になったら人事するべき対応

無断欠勤からの音信不通になったら人事は以下の行動をとります。

・社内で懲戒解雇の稟議を上げる

・役員会、人事連絡会などの機能会議で無断欠勤の状態説明を役員に伝達

・役員会で懲戒解雇決議がおりるのを待ちながら、労基署に連絡

・労働基準監督署に「無断欠勤が3か月以上続いており解雇したい」と相談をする

・労働基準監督署の判断を仰ぐ。労基署は責任を負いたくないのであまり積極的ではないが「どうすれば裁判になったときに正当だったと判断されるのか」を伝えてくれる

・裁判になったときのための尽力の証を作る

・懲戒解雇を決済、離職票や健康保険証の喪失を行う

それぞれについて解説します。

社内で懲戒解雇の稟議を上げる

役員会議で懲戒解雇を決済してもらうために稟議を上げます。

現在の状況を報告します。

最終的には社長判断を待ちます。

役員会、人事連絡会などの機能会議で無断欠勤の状態説明を役員に伝達

氏名〇〇の欠勤状況を報告しますから始まり、機能会議で詳細な情報を役員に提供します。

ほとんどの場合は人事が責任をもって推進しますが役員会の3分の2以上が賛成がないと決済できないので決済できるように情報提供をします。

役員会で懲戒解雇決議がおりるのを待ちながら、労基署に連絡

役員会で懲戒解雇決議がおりるのを待ちながら労基署に連絡をします。

現在どのような解雇ならば許されるのかを聞きます。

労働基準監督署に「無断欠勤が3か月以上続いており解雇したい」と相談をする

労働基準監督署に無断欠勤が3か月以上続いているので解雇したいとと相談をします。

労働基準監督署の判断を仰ぐ。労基署は責任を負いたくないのであまり積極的ではないが「どうすれば裁判になったときに正当だったと判断されるのか」を伝えてくれる

労基署の判断を仰ぎます。労基署は責任を負いたくないのですが裁判になったときに正当な解雇だったと言えるだけの材料の作り方を教えてくれることもあります。

裁判になったときのための尽力の証を作る

裁判になったときのための尽力の証を作ります。

労働者を解雇する、ということは労働基準法上は死刑宣告に等しくとても重いことだからです。

出来るだけのことはすべてやったという証拠を写真や文章で記録していきます。

・身元保証人と連絡したか

・警察署に捜索願は出したか

・本人と連絡を取ろうとしたか

・解雇するまでに何度自宅へ行ったのか

・労働基準監督署に対して状況報告を行い指示を仰いだのか

・解雇までにどれくらいの文章を送付したのか

・親御さんは説得したのか

など全て記録に残していきます。

残した記録は全て労基署に報告を行い、顧問弁護士にメールなどで送付しておきます。

懲戒解雇を決済、雇用保険や健康保険証の喪失を行う

役員会が懲戒解雇決済を行いできることをすべてやったらいよいよ解雇を実行します。

・雇用保険の喪失理由を懲戒解雇にしてハローワークに送達

・労基署に連絡

・健康保険証の喪失

・本人の住居だったところに懲戒解雇の通知を内容証明で通達

上記を行い終わります。

「無断欠勤してそのまま辞めたい」という方もいるかも知れません。

次の対処法をおすすめします。

無断欠勤をしてしまったら相談できるのは3つの機関

「無断欠勤したのは悪いけどもう会社に行きたくない」という場合には以下の3つの方法が取れます。

・弁護士に相談

・労働組合に相談(いわゆるユニオン)

・民間企業での退職代行

それぞれについて解説します。

弁護士に相談

弁護士に相談するという方法があります。

弁護士はあらゆる法律関係の代理人になれるからです。

退職の意思表示も代理人として依頼すれば可能です。

ただし、料金が高いですね。相談料1時間5,000円、着手金などを考えるとかなりの負担になります。

労働組合に相談(いわゆるユニオン)

ユニオンといわれる外部労組があります。

会社内にある労働組合ではなく、外部労組なので100%労働者側にたって相談に乗ってくれます。

退職代行ガーディアンは労組が運営しているので委託しやすいですよ。

もしもブラック企業が「退職は受け入れない」とか言い出したら憲法の名のもとに団体交渉などで退職を勝ち取ってくれます。

人事を10年ほど経験している筆者的には弁護士よりもユニオンと戦う方が怖いですね。



民間企業での退職代行

民間企業での退職代行会社への依頼もできます。

ただ、欠点としては弁護士の資格なし・労働組合の資格なしだと非弁行為といって犯罪に該当する可能性が出てくることです。

本来は労働に関する相談事は弁護士や労組以外はできません。

あまりおすすめしません。

まとめ

無断欠勤しても即座に解雇はない。

ただ、退職の意思表示さえ取れれば良いので退職代行も視野に入れましょう。

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